ちいさな野菜畑

ちいさな野菜畑ブログ

カテゴリーアーカイブ: 生産者と共に

光と影

昭和40年代から田植機稲作が始まった。
それまでは、折衷苗代で苗を作り、部落の結で大勢の人が手植えで苗を植えた
当然、苗を植えやすくするために手にとって植えるのは大苗だった。

一日中、腰を曲げてぬかるんだ田んぼでの作業は、重労働だった、
それを解決したのが、田植機だった。
ところが田植機によって家庭で出来るようになり、結が無くなり、共同体が消えた
また田植機は、育苗箱で苗を作り、機械で掻き取るために、一株に小苗を多くの本数が入ることになった

多くの苗を植えたために、葉が重なり一株の受光態勢が悪くなった。
また密植のため、風が通らなくなり、稲は湿った空気に包まれ、イモチなどの病害虫が発生しやすくなった
それを解消しようと、さまざまな農薬が開発され、農薬散布が常態化した

しかし、除草剤などの農薬は、農家の重労働を軽減した。

今、水田稲作は労働が軽くなったが…財布の負担は重くなった

共同体が消え、重労働がなくなった田植機稲作は、米価が安くなる時代、経費の増大に農家はあえぐ

一つ便利なモノができると、その陰でいろいろなことが起きる

出番

岩崎善隆は、カモを引き上げた

水田に放していたカモを、出穂前に引き上げる
稲科の植物の葉は、カモは食べないのであるが、穂は食べるからである
くちばしで稲穂を丸ごと飲み込み、ズスゥーと引き抜くと、穂が全て食べられる
それで引き上げるのだが…


穂が出るまでは、田んぼに入れておいてもエサを少量与えれば良いが…
(エサを大量に与えると、腹がくちくなって葉っぱを食べなくなる。
人間と一緒、タラフク酒を呑んだ後はラーメンライスは入らない。せいぜい大盛ラーメンぐらいである)
田んぼからあげて、これから肉にするのに、大量にエサを与えないといけない。
カモは雑食であるから、何でも食べるがやはり太らせるには。穀物が必要である
クズ米、クズ大豆、クズ麦、人間のクズ(?)、あちこちから貰って…買って…与える
それでも足りないときは、鶏の購入飼料を与える


しかし、一羽一羽大きさが違う。
幼いころ争って食べて勝った奴が骨格が大きいので、デブになる可能性が高い
小生のことを言っているのではない。カモだ!(怒)

カモは、エサを食べるとき必ず水を必要とする
エサを食べて水を飲み、エサを食べて水を飲むを繰り返す
だから地面がぬれて、汚い
人間と一緒、酒を呑んで肴を食べ、酒を呑んで肴を食べる
肴を食べないと悪酔いする、肴を食べるとデブになる
人間の場合は「意地汚い」と言われる


そうして太らして11月〜12月に屠畜をする。
クリスマスのカモ料理に、正月のカモの雑煮に。そして一杯飲むときの鴨鍋に…
やがてくる出番のために、一生懸命、がっつくのである。

人間も一緒である、やがて出番が来るときのために一生懸命働く
なかなか出番が回ってこない人もいるし…
出番がまったく無い人も…
出番があっても、空振りする人も…

カモはいいなぁ〜必ず出番が来る(泣)

りんどう

一年の間に、2〜3回は、沢内に行く。
様々な用事なのだが…
今年は、もう2年分ぐらい、この10日の間に行った。と言うより通った。

渡辺哲哉のリンドウの集荷である。
リンドウ農家は、お盆前後が猛烈に忙しい
リンドウは仏花だから。お盆と彼岸しか需要が無い
それに合わせて咲かせる。収穫する、選別する、出荷する
日中は、雨でもカッパを着て収穫、夜は選別、朝出荷の箱詰め
丸一日作業にかかりきりで子どもは、実家に預けて働く
それで年間12万5千本のリンドウを収穫するという

                  

いつも子どもと一緒に、店に天日干しの”おひさま米”届けてくれるが、
「この時期だけは、外に出かけられない」という

例年、リンドウは、売れ残る
盛岡付近でリンドウを専門に栽培している農家が無く。片手間に作っている農家が相場もわからず高く出してくるからである
その農家が出さなくなったので、渡辺哲哉のりんどうを集荷するようになった
彼から出てくるのは、規格外である。
ところが素人目には規格外とはわからない
葉色が薄いモノや、茎がちょっと曲がったモノ、そして花が三段以下のものが規格外である
農協出荷は、10本を束ねて、一箱100本にして出荷するが、それが足りないと全て規格外になる
しかし、10本束ねれば、ほとんど規格外とはわからない

農協出荷は、花卉市場から花屋に流れ、花屋が束から1本を取り出し、花束にするので、一本一本が大切である
ところが産直などの仏花用は、そのまま墓前に備えるのである程度のボリュームが必要であり、一本一本の吟味は必要がない
そういうわけで、この時期の規格外の束は、産直にとって必要な花なのであるが…
「規格外、一杯出してください」と渡辺哲哉に言うと
「規格外を作っているわけではないので…」とこたえる、当たり前だ
リンドウは、宿根なので、何年も収穫出来る。それがF1のせいか、徐々に品質が悪くなり、規格外が出てくる
「もう5年目なので、規格外が一杯出てくるのです、来年は更新しないと…」

 「これは”藍の風”という品種です。西和賀だけの品種です」
そして「秋の彼岸には、白・紺・ピンクと三色が揃います」

踏ん張り処

今日から、お盆商戦が始まる。
13〜4年前は、朝6時に店を開けても、次から次へと客がやってきた
墓前に添える花を買い求める客が、多かった。
盛岡は、親戚のお墓まで花を供える風習があるので、1人で大量に買うのである
その他、帰省してくる家族を迎えるための、食糧の買いだめもあった
ある客は、
「お店の駐車場が一杯で、入れるまで松園を3周ぐらいして、ようやく車を止められた」

ここ数年前から、早朝に客が入らなくなったし、売上も減ってきた。
産直が、過剰で各地で花の安売りをするために、前日に遠くの産直まで買いに行くのだろうと思っているが…
ひょっとして、多くの人の考え方が合理的(?)になってきたのか…

混んでいるときに、わざわざ行かなくても…
朝は、ゆっくりと寝ていたい
親戚の墓まで廻る金銭的余裕がない
お盆は家で作らなくても外食で…
先祖なんか戻ってきやしない。生きてる人間が大事だ(?)
お寺に設けさせてなるものか(?)
お盆だけイスラム教に改宗した
せっかくの休みだ。なにもしたくない

 

そんなこんなで、ここ10年ぐらいで日本人の精神的習慣が変わってきたのか?
とはいえ、通常の売上の3倍ぐらいの売上がある(以前は4〜5倍あった)
ちょっと売上が減っているから、ここががんばり処だ!と
昨日は、岩手町から盛岡、三本柳に、沢内、そして本宮と300kmを走破した

農家は、夏野菜の収穫、秋の種まきの準備と、今が一番忙しい時である
そして、お盆前が、一番高い値段を付ける。
千葉忠栄は「小菊が一本90円もする。こんなの初めてだ」
渡辺哲哉は「お盆はりんどうが一本50円する、お盆が終わるとがくんと値段が下がる」
農家も踏ん張り処、店も踏ん張り処である

          

標語県?

沢内に行った。今は西和賀町というらしい。
なんと言っても「沢内」の方が良いに決まっている
「沢内甚句」があるのだから…
あれが「西和賀甚句」となったら。おかしかろう

盛岡から入ると、今は山伏トンネルがある

無駄な公共事業は、多々あるが…
これぞ優良公共事業といわれるのは、山伏トンネルと、岩泉へ抜ける早坂トンネルだろう
二つとも、片側絶壁の急勾配の坂道を行き来したものであるが、なんと言っても冬場の峠道は、悲惨だった
凍結した下り坂を、ズルズルと下がっていく。走るのではない。下がっていくのである
多分。何台も谷底に残骸があるのかも知れない

その山伏トンネルと抜けると、そこは沢内であった。
                   
どこまでも続く一本道であるから、スピードがでる
おまけに両側に並ぶ家は、似たような造りである
道路からある程度の距離をもって玄関があり、それに風除室が付いている
そして道路に面した所には、除雪の道具が入っている作業小屋が…
また上から出入りできるように、すべて二階建てである。
道ばたの友人の家を探すのに。いつも苦労していた。

そんな沢内は、幼少のみぎり親父に連れられて行ったことがある
”幼少のみぎり”と言う言葉は、若い人は知らないだろう
隠れて煙草を吸ったり,台所の下の日本酒を盗み呑みする10年ぐらい前である
両側が雪の壁で、ほっかりと空いた空間から雪を登っていくと。そこに入り口があった。
現場事務所の二階になっており、そこから出入りした記憶がある
豪雪地帯であったが、最近そんな風景は見たことがない。温暖化のせいか?

 

そんな沢内の道路に至るところ看板が立っている
  

      

沢内は兵庫県か?というほど標語が多い
そんな沢内に、渡辺哲哉を訪ねた
盆花のりんどうの引取である・

「今の時間、家の中にいることは無いのだけど…」と
開花が遅れて収穫作業が出来ないことを、奥さんは嘆いていた

揚げたよ!

「もう田んぼから揚げたよ」と岩崎善隆は言って
「穂が出始めた…」と続けた
「品種は?」と聞くと「こまち!」
「まだ穂揃いにはならないね…」
「8月5日頃じゃないか?」

水田に放していた合鴨を、引き上げる時期である
合鴨は、丸い葉を食べるので、稲のようなとがった葉は食べない
ところが、穂を食べるのである
丸呑みしながら、ズズッーとくちばしでしごくと穂だけが無くなる

そのために合鴨を田んぼから引き上げるのである。
だいたいが6月に入って合鴨を入れ、7月末ごろに合鴨を田んぼから引き上げる
6月は、稲の成長も遅く、雑草が生えやすい。(光が当たって,雑草も光合成がしやすい)
7月に入ると、稲の陰になって雑草の生長も抑制される
それで7月末頃になるとお役ご免になるのである
 

田んぼにいるときは、余りエサをやると雑草を食べない
と言ってエサをやらないと、”腹が減っては戦ができぬ”とばかりに、稲まで食べる
エサの加減が難しいのであるが、田んぼから揚げた合鴨には、たらふく食べさせる
早く太らして肉にするためである

そして8月から11月頃まで太らしてから屠畜する。
それが。青龍麺やひっつみの出汁になる

 

 

 

タヌキはエライ

藤沢精悦は、尊敬する百姓である。
おばぁちゃんと奥さんと、3人でいつも真っ黒になって働いている
しかし、それだけではない
余すことなく土地を平面的に,垂直的に,利用しているのである。

  

ハウスとハウスの間に里芋を植え、ハウスの中ではとうもろこしと苗の育苗、そして胡瓜
それも春先から、どんどん栽培作物が変わってくる。
「よく考えてるね〜ハウスの間だと雨が集まって過湿の状態になるから…」と奥さんに言うと
「それと風よけになるから…」と答えた

里芋は、湿った土が好ましい。二子の里芋は水田の転作利用である。
藤沢さんの里芋も「津志田の里芋」と言って地元では美味しいと評判である
 

ハウス内のとうもろこしは、求肥作物である。(肥料を求める作物)
ハウス内は、雨が降らないので肥料がドンドン溜まり、肥料過多になる
それを吸い上げる効果がある

奥さんは「これは、白いとうもろこし、自家用です。食べきれないけど…」と笑って言った。
「ハウス内でやると,タヌキにも食べられないし…」と隣の畑を見ながら

「隣の家の畑は、右側の列のとうもろこしは食べないで、左側のとうもろこしだけ食べられるの…。ちゃんと甘いのがわかってるの…」

タヌキはエライ。それ比べて人間は…

あっちは安い、こっちは美味い

夏祭りで、とうもろこしを焼いた。

朝、北上の稲瀬に行き、阿部精一から引き取ってきた「ゴールドラッシュ」である
「これは焼くには…柔らかいから…」と阿部精一は言う

以前東京の祭りで、焼きとうもろこしを食べた”とうもろこし農家”は…
「あれは、デントコーンだ!」と言っていた
とうもろこしには、スィートコーンとデントコーンの二種類ある。
人が食べるとうもろこしは、スィートコーンである。
デントコーンは、飼料用で馬歯種といわれるほど堅い、かつ甘くない
たぶんテキ屋が、ただ同然で仕入れてきたデントコーンを。焼いて柔らかくし。甘いタレを付けて販売しているのだろう

とうもろこしは、収穫後6時間で糖度が半減すると言われる
それも冷気がただよう早朝から収穫する。
そしてサイズ別に分けて、箱詰めして農協の予冷庫に午前中にもっていく
それを産地の農協は、保冷車で運ぶが…市場には大量に保管する場所が無いので野積みである
翌日、競りで仲卸が買い入れ。それを八百屋が買い。店頭に並ぶ
昔のとうもろこしは、長距離流通では、糖度が落ちたものしか並ばないのである
だからデントコーンを焼いて売っても、都会の人はわからなかったのだろう
今は品種改良がされて。糖度がある程度(2〜3日?)持つようには、なっている

 
今回の焼きとうもろこしは、朝採りを、
炭火で焼き
青大豆の秘伝で作った醤次郎をぬり

最高の一品である。

三軒向こうに、焼きとうもろこしを売っている店があった
それは市場から調達したとうもろこしを茹で上げて、焼き色を付けて売っていたようである
早く焼けるように茹でているのだろうが…茹でると糖分が溶け出し糖度が落ちる

何人かの客が「あっちのほうが安いよ!」と冷やかしていった
「そうですね〜、あっちは安い。こっちは美味い」
どちらを選ぶか?

すごい!すごい!

”雲一つ無い青空”という表現は、さわやかな感じを与える
今日は、じりじりと照りつけような暑さの青空である。
このような青空を、なんと表現したらよいのか?

多分、店に戻る時分は、片腕が日に焼けて赤銅色になっているだろう
そんなことを考えながら、トウモロコシを探しに北上へ向かった。
途中、花巻付近を走っていると、なにやら大きめの掲示板にポスターが…

そうか!花巻市議選だ!

34人の定員に37人が立候補をしている。
3人が落ちるわけだが、知人の3人が”無所属の新人”で立候補している
小生の知人だから3人とも、反骨精神が旺盛である。
3人とも受かって欲しいが…

そんな想いを込めて北上へ向かった。
岩手のトウモロコシは、北上と岩手町が作付面積が多い。
岩手町は8月の初めから、お盆の需要に向けての出荷が多い。
その前に、北上の稲瀬地区のトウモロコシが出てくる
何年も前から市場を通じたり、農協を通じたりして、手に入れてきたが、3年ほど前から稲瀬の阿部精一さんから送ってもらっている
やはり生産者から直接、状況を聞いて買い求めた方が良い。
まして今回は松園夏祭りで、焼きトウモロコシを販売するのだから…

阿部精一さんは家にいた。
「今年は、…ラッシュを栽培している。朝採りで…」
「ゴールドラッシュ?」
「そうそうゴールドラッシュ。柔らかくて、焼くにはちょっと…」
「ゴールドラッシュは、収穫しても糖度が落ちないから朝採りしなくても…」
「んだども…、やっぱりトウモロコシは朝とんねば…」
「焼くのは、醤油を焦がすためだから、ゴールドラッシュでもいいんですよ」
「そうが〜。んだば…」
小生より3〜4歳上の元農協営農指導員である。

話が成立して、阿部さんを紹介してもらった友人の家に行った。
「どうぞ、こっちへ…」と案内された家は…

        

                 

「これが牛柱で…牛柱というのは大黒柱のことで…栗の木を使って…」
なんと144年目に改築した古民家再生のうちだった。

                   

山形の金山町には、古民家をばらして組み直した家を見たが…
この家は、柱や梁はそのまま活かし、床や壁を張り直して、間取りも、若干変更したようだ
しかし、こういう家と比べると、今の豪邸と言われるような家も安物に見られるのが不思議である。

これが、やはり歴史の重みという物なんだろうか?
ただただ「すごい!すごい!」と歓声をあげるしかなかった。

企業秘密

「採れた。採れた。」大声で入ってきたシロクマである。
名前は吉田順平というが、心の中ではシロクマと呼んでいる
躰がでかくて。のっそりとしていて、頭髪やひげが白いのであるが、
歳は、自分と一緒である。
シロクマと違うのは、目がギョロリとして気が優しいことぐらいか?

彼がもって来たのはブルーベリーである
 3年目のブルーベリーである。
2年間農協に出荷して、返品されたという。
ブルーベリーは、収穫・選別が手間である
こんな小さな果実に規格があって分別しないと行けない

3Lは、直径20mm以上
2Lは、18mm
Lは、15mm
Mは、12mm

そして果汁が出ているのはだめ。
下の写真のように果実に付いている白粉が飛んでいるのはダメ

そんなこんなで、収穫の手間が大変で人件費がかかり、まして春の収穫と秋の準備で忙しいときにやるのは、野菜農家は無理で、果樹農家が多い
それでも摘み取り農園にして。手間を省くところもある

彼は、「企業秘密なんです。企業秘密!」としゃべりながら、収穫した後の管理を大声で教えてくれた
ブルーベリーは、収穫した後そのまま放置すると、すぐ過熟してダメに成ってしまう。
売り物に成らないのである。
そして、じゅくじゅくと果汁が凍みだし、ショジョウバエがでてくる
やっかいな果物である
「農協は教えてくれないのです」
「これは、誰にも言っちゃいけないですよ」
「今は3Lが採れますが、最初だけで私のは管理が良いからほとんど2Lです」
「でも収穫時期は8月初めまででしょうね」
「品種はブルークロップとブルーレイ、岩手の奨励している品種です」
つぎからつぎへと速射砲のように言葉が飛び出し、ただただ聞いているだけである

話は養鶏の話、エサの内容、「企業秘密・企業秘密」といいながら、そして最後に
「これ売れますかね?無農薬です。無農薬!」と言ってマンズナルインゲンを置いていった

「マンズナルインゲン」というのは矢巾の佐藤政行種苗の種で
方言で「まんず、まんず、よくなるもんだ」と”良く採れる”と言うネーミングです
この種が関西に行くと「ナルデ」という名前だという
関西弁で「なるでぇぃ〜」
なんとなく関西らしくて、えげつないネーミング…

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