以前。魔子さまに笑われた。
「何を泣いているの?」と言って
あのときは、釜石の7連覇がかかった日本選手権だった。
足を痛めた松尾が、国立競技場で足を引きずりながらゴールに向かって走って行ったときに不覚にも涙が出た。

「ラグビーを見て泣く人を初めて…」と魔子様は言う

今回も、ひょっとしたら、そんな場面に遭遇するかもしれない。
最近、涙もろいのだ。
とりあえず、そうなっても良いようにティッシュケースをそばに置き、
前半からビールを飲むと、途中で席を立ちたくなるから、後半からにしよう。
そして前半は、乾き物で濃いめの珈琲を飲み、
後半は、ぬか漬けとホタルイカの酢味噌あえ、北寄貝の刺し身、
スポンサーに敬意を評してハイネッケンが無いので、ジョニ赤の黒ビールを
それも切らしたので、しかたがない赤の金麦を…
準備万全、テレビの前の椅子に座った。
魔子様に「客、電話、一切でない!」と強く伝えて…

しかし、いつの間にアイルランドはランキングが世界二位になったのだろう。
たしか昨日までは
「世界一位のアイルランドと対戦する日本は…」と言っていたのに…
と思いながら
相変わらず大きな大きな体格の外国選手に立ち向かっていく日本選手と
外国人でありながら日本選手になりきって戦う連合チームの試合に
「無理だな」
前半だけ、なんとか小差でもって、
「体格差をもろともせずに、善戦したね」
と声をかけて、あげるだけだ。
あんなに大きな体に持ち上げられ、叩き落されて…
「どこまで善戦するか?どこまで少ない点差で行くか…
どこまで行くか…
前半まで、もつか…
後半、半ばまで行くか…
え?あと10分!行かない。えっ!

人生には、まさかという坂があるが…
ラグビーには絶対にない坂が、「まさか」である
いやぁ〜驚いた。滂沱と涙が溢れた。
泣いていないのは、選手たちだけだった。
「必然だ」と…