魔子様の天ざる
入道のすじこそば

久しぶりの外食である。
食道癌で食道を切除、その縫い合わせた所が狭まり、胃に落ちていかない。
つまり食道に、ちいさな関所ができたようなものだ。
その関所に食べ物が滞留し喉まで詰まって、食べられないという状況に陥る。
それだけならいいが、食い意地が汚いから、目だけは食べたい。
つい一口、二口と食べ物をつまみ、押し込んでしまう。それが悲劇。
落ちていかないだけなら良いが、戻ってくる。
七転八倒しながらもどす、という羽目になる。
だから、ほとんど外食しない。宴会も不参加。それでえ〜んかい?(ダジャレ)
昔は、付き合いだけは、いい男だったが、今は付き合いも悪い男だ。
そのほかに、悪いところは根性や。顔。スタイルと、多々ある、(泣)

母の見舞いという名の散歩に行って、顔を見てくる
特養ホームのユニットと呼ばれる食堂でみんなでテレビを見ている母は
小生に面と向かって言う
「息子が見えない。どこへ行ったのかね」
以前は「息子だよ!」とか
「ここにいるよ!」とか言っていたが、最近は諦めた
「どこかに、出かけているんだよ。仕事で忙しいから…」といなす。
昔の話でもすれば良いのだが、それも、ほとんど覚えていない。
仕方がないので、要件だけ済ませて帰る
今回は、ご飯茶碗が欠けたという。

「どこかで昼食を…」と魔子様に言うと
「蕎麦」と、いつも言う
蕎麦しか知らないのか?
そして挙句の果てに「天ぷらそば」を注文する
暑ければ「天ざる」を…
冒険はしない。一途といえば、かっこいいが、それしか知らない。
こちとらは、蕎麦屋に入ったらモッキリを頼みたい
そしてアテは…と一生懸命に考える
魔子様は「蕎麦屋のメニューを眺めながら…
「はなまきって何?」「おかめは?」
「ちいさいころは、たぬき蕎麦しか食べたことがない」と言う
小生だって一緒だ。
近くの八百屋みたいな、なんでも屋で「玉うどん」を湯がき、自家製の汁だった
湯がいた蕎麦もあったが、好きではないから、ウドンだった。
そういえば中華そばも、始めた食べたのは中学生の頃だった。
近くにホルモン屋ができ、家族で初めて行って食べたのが中華そばだった。

久しぶりの蕎麦屋に魔子様はいつもの
「天ざる!」といい
小生は、探しに探して、今まで注文してない「「すじこ蕎麦!もっきり!」
着物姿の女給は「もっきりって?蕎麦前ですか?常温で…」と言った。

閉めたちいさな野菜畑では、手打ちそばをメニューにしていた。
そば粉は、山間部の蕎麦が香りが良いと言う
平場の蕎麦は、山間部の蕎麦にはかなわないと…
それが選べるのが岩手の蕎麦の良いところだったが…

そろそろ蕎麦刈の時期だ。香りのいい新蕎麦は、いつ頃になるのか…