庭の百日紅

「庭の百日紅が満開である。」
と言う
「どこが…」「どれが…」
庭の木々を見て皆が問う

百日紅は、昔、と言ってもそんなに昔ではない。
戦争が終わって40年も経った頃だ。
戦争と言っても日露とか日清ではない、先の大戦だ。
つまり昭和の末期ごろ鎌倉の極楽寺に行って、
初めて百日紅という木の名前と、その由来を知った。

百日紅は「さるすべり」と呼ぶ。
木肌が滑るように木の皮が剥げてつるつるのように見えるのである。
まるで猿が滑り落ちるような木肌である。
そして真夏の盛りに真っ赤な紅色の花を長い間咲く。
百日も咲くかのように…
極楽寺の百日紅は、低木のこんもりとした百日紅だった。
そんな木になるだろうと庭の片隅に植えていたが、
いつの間にか、ヒョロヒョロと仰ぎ見るような木になってしまった。
植物というのは、太陽を求めて背が伸びるらしい。
十分に陽光が当たる環境にあると、まんべんなく成長するが
陽光が少ないと、太陽を求めて高く高く伸びていくらしい。
そんなわけで、狭い庭で木々に囲まれた百日紅は、上へ上へと、伸びた。

今年の紅は、鮮やかである。
青空によく映える。