背の高い婦人がレジで、なにやら聞いている
客と対応している魔子様が、小生に向かって
「無農薬の野菜を扱っているところはないの?」と聞いてきた
「何?」自分のところで扱っているのに…

と思ったが、どうやらお客は

”無農薬の野菜が選べるような直売所”を探しているようだ

出ていくと
「病気になって初めて食べ物の大切さを知って、どこで売っているのか?探しているのですが…」

こういうお客様が一番、説明の程度が難しい
まず「農業」と言う説明からしないといけないからである
そして「現代の流通」が、いかに問題があるか…
それには「人間の欲」の問題と…
そして彼女は
「ものを見ても…
人を見ても…
自分ではわからないので…」と最後に付け加えた

 

まず今の八百屋や量販店に並んでいる商品がどれだけ国産品の並んでいるか?
海外産は安全なのか?と言って地場産の比率は?
結局、今の時期(4月5月)は地場産(岩手産)のものはほとんどないのである
まして有機農産物など無いと言っても良い
自然栽培というか、自然にできた山菜の時期ではあるが…
それも「栽培」や「自然栽培という、ほったらかし」
それがすぎると「野生化栽培」と言う名に変わる
じょじょに岩手産がでてくるが、あっという間に終わる
岩手の農産物は、品種が満足の揃うのが4ヶ月(7月8月9月10月)しかないのである。

だから産直で食べていくというのは至難の業なのである。
当店も最初から市場流通の仲卸が入っている。
大きな農協系の産直は、ほとんど他の農協や漁協と提携している。
産直という名を借りた量販店なのであり、量販店の中に産直がある。
経営的にも、年間を通じて地場産有機野菜を揃えるというのは不可能なのだ

 

当店が有機農産物中心の街中産直を始めたのはもう25年も前になる
当時、有機農産物は肩身が狭かった
「無農薬です」とPOPに書くと
「わしのは毒薬を撒いて栽培しているのか?」と同じ出荷者から言われると聞いた
だから「無農薬」「有機栽培」とは書けなかったと…

そんな生産地のそばの産直から、消費者に近い産直を始めたのが、ちいさな野菜畑である
有機農産物を栽培している農家が地元の産直ではなく。消費地に近い場所に…
しかし、さまざまな問題があった。
農業は金を稼ごうとすると、ある程度の量が求められる
つまり一つの作物を作るのにも、種はワンロット(小袋)買わないといけない
種取りのばあい、選抜のためにある程度の量を必要とする
自家生産肥料といっても、作る量は最低ロット必要とする
(発酵肥料の場合、発酵させるためには熱量保存のために1トン程度の仕込みをしないといけない)
まして畑が空くと雑草が生えるから、生えない程度の作物を植えないといけない

等々の事情があって、ある程度の量を植えざるを得ない
それが果菜類のように、少しづつ取れる野菜であればいいが。
白菜・キャベツ・大根のように土地利用型は、一挙に収穫が始まる。
収穫が始まると一挙に腐敗が始まる。(野菜は収穫と同時に腐敗が始まるのである)
だから一挙に売らないといけない

だから食べる野菜をすべて産直で有機農産物を揃えるというのは至難の業なのである
まして、それを選べるようにするのは…

だから平成7年に街中産直をオープンして11年後「脱産直宣言」をした

脱 産直宣言!(2006年(平成18年)7月)

 

 平成7年(1995年)7月8日、農家直売所ちいさな野菜畑は、地域を越えた17人の生産者によって、盛岡市の一角で産声を上げた。

企画段階で岩手県の担当者に補助金の相談をしたところ、

「地域を越えた生産者が集まるところは、対象とならない。市町村の単位で有るならば、いくらでも出すが…。」と言われ

「だいたい街中に直売所など建てて、経営的に成り立つはずがない。近くに生協や八百屋。スーパーがある。消費者は、畑や田んぼを見ながら買うのが、好きなんだ」と、いらぬ指導まで受けた。

そのおかげで、一切補助金や、行政からの支援を受けない方向できた。

しかし、その担当者の言うとおり経営的には悪戦苦闘の11年間であった。

 よく「直売所に市場モノが並んでいるのはおかしい」という人がいる。

また「直売所は、地元の物しか売らないという哲学をもて!」という人もいる。

当店は、最初から仲卸を一社仲間に加えた。

岩手の旬は短い。野菜の品揃えが出来るのは、だいたい7月から〜10月ぐらいまでの4ヶ月である。しかし、米・卵・牛乳は、一年を通して生産され販売できる。そして冬には、農家の智慧や技を表現できる漬け物がある。そこで、一年を通じ店に足を運んでもらい、四季の農産物を通して農家の暮らしぶりや、農業のあり方を知って貰おうと、品揃えを充実させるべく、市場流通を加えた。

 そして、経営責任である。「みんなで、やろう」と言う言葉が安易に使われる。“みんなでやる”と言うことは、“みんなで責任を取らない”と言うことであり、変化に素早い対応が、とれない組織体である。協同組合という組織が、今行き詰まりを見せているのがその証拠である。また会社組織は、長くて100年の歴史しかない。平均30年の寿命だという。

その中で農家は、代々続けてきた。8代目9代目等というのはざらであり、それは“家業”として綿々と受け継がれてきている。(1代が30年とすれば、200年・300年と続いている)

 家業としての家族経営、そして年間を通して安定的商品供給の中で、岩手の農業の旬を伝え、農業のあり方を消費者と共に考え、そして高齢化する地域の人達に青果物を届け、地域に貢献をする。

そんな店が「直売所」というくくりで、捉えられて良いのだろうか?

先日、県の農政部から「直売所アンケート」を調査しに来た。

その担当者に“直売所とは、何か?”を問うたところ

「農家が自主的に、地元の農産物を販売する組織体」という。

当店の考え方と違う。そこで「脱 産直宣言」をする。

 直売所より ちょっと市民に近く

 八百屋より ちょっと農家に近く

 量販店より ちょっと農業に近く

 百貨店より ちょっと身近で

そして、地域に無くてはならない存在

はたして、この店を縦割り行政は、どのようにくくるのであろうか?