ひさしぶりの朝である。
いや、ゆっくりと時間が取れる朝である。
いつもは目が覚めて慌ただしく資料を読み探し慌てだしく介護食を作り、慌ただしく店に出かける。

今日は定休日である。
仕事は山ほどあるが、とりあえず15分や30分は時間が取れる。
ストーブの前でボォーっとしていると、なんだか静から腹に響く音が聞こえる
なんだ?ガスの火が勝手について燃え上がったか?とそちらを見る

なにもない。
ふと窓の外から音が聞こえる。耳を澄ますと
なんだ!除雪機の音だ!
自転車道路を除雪機がゆっくりと作業員が押しながら歩いている。
「積もったのか?」とみるとそうでもないが、5センチ程度は有るだろうか
通学前に除雪をしているようだ…

熱い珈琲をブラックで入れて一息つく
特注の「フレンチブレンド」を挽いて、熱湯を注ぐ。
そして反射式ストーブの前でまたボォーっと座って火を見る。
火のある暮らしは、なんとなくホッとする。
ひとしきりボーっとした後、甘いものが飲みたくなった。
いつもなら机の上で駄菓子を一口つまみながら珈琲を飲むのだが…

今日は定休日なので居間のストーブの前だ。
自分の部屋の駄菓子を取りに行くのも面倒くさい。
ふと見渡すとココアが有る。
そうだ!久しぶりにココアを淹れてみよう

ヴァンフォーデンのココアの缶だが、開けると底の方に塊になっている。
缶に書いてある「ココアの淹れ方」を読むと
ティースプーンで1杯(4g)を入れて10ccの水またはミルクでペースト状にすると有る
テーブル計量器を出して測る

そうなのだ
いつもは適当なのだ
エィ!ヤァ!と入れて、ドバドバと注ぎ入れる
忙しいふりをして適当にやっていた
いつも人には言う
「忙しいという字は、心を亡くすと書くのだよ」と…

丁寧な仕事をする人は、忙しいふりをしない。
ほんとうは忙しいのだろうが…

「料理は科学である」と思ったことが有る
有るシェフは調味料を一つ一つ測って入れる
量や時間を測るということが身についている
そして最後は、ベロメーターである

 

そんなことを考えながら認知症の母が昔、作ってくれたココアを思い出した。
たっぷりとして甘〜いココアだった。
牛乳ではない。たしかスキムミルクだった。
いや赤ん坊用の粉ミルクのような気がする。
ココアも、どこか日本のメーカーだったような…

そこには有ったのは、美味しいココアではなく「団欒」だった。
家族が、火鉢の周りに集まってココアをすすった。

薪ストーブや火鉢、そして炬燵、家庭の火の周りには「団欒」があった。
火が見えなくなって、消えたものがいくつもある。

消えたものと…増えたものと…
どちらが多いか?少ないか?
良いのか?悪いのか?

これからの世代が決めることなのだろう