武田君の米が、まだ揃わない

新米の時期だと言うのに…

ヒマをぬって出かけていくが
農具の掛かった精米調整小屋には、誰もいない

しかし、彼の小屋はきちんと整理してある

整理整頓が出来ない農家が多いのだ
きれいに包装されている農産物を産直で見かける。
その農家の住まいの上り框や、小屋の中は雑然としているところが多い。
産直とは「顔しか見えない関係」である。
整理整頓が出来ていないところが、美味しいものができるはずがない。

武田くんは。コレだけでも信頼できる農家である
(納期以外 苦笑)

彼は市議会議員でも有り、ある党の青年部長でもある
もう50も過ぎた青年であるが…

だいたい農家は齢をごまかしている
若奥様の会という50歳を遠にすぎた女性の団体もあるくらいだ。

議員二期目の武田くんは、忙しくて本業の農業が、なかなか出来ないのだ
出来ないと言って、こちとらはすまない

武田くんに催促にゆく

もみスリ機の大きな音がする小屋の、
まだ音が聞こえないところで一生懸命電話をしている姿が見つかった。

目線の先には、雄大な岩手山が上半身だけ見える。

嬉しいことが有ったらしい。
嬉しそうに、満面の笑みを浮かべて電話を終えた。

そして
「これはまだまだ、誰にも喋っては駄目ですよ」
と言いながら話してくれた

”だれにも、話すな”と言いながら…

庭のワンコは聞いていた。