サイコパスと言う本を読んだ。
アメリカのトランプ大統領は、サイコパスだと本の帯に書いてあった。
トランプがサイコパスなら、ビジネスマンはすべてサイコパスではないか?
そんな思いをもって、本を買った。

昔、と言ってもそんな大昔ではない
「羊たちの沈黙」という映画をテレビで見た。
その時の博士(?)というべき主人公がサイコパスだと言う。
相反する性格が一人の人間に現れる…
その程度の知識なのだが…

 

読み進めながら、ふと今まで人生の中で、
「あの人はサイコパスだ!」と断定できることに気がついた。
30代に出会った人で、40代までつきあったが…
50代60代は、小生の思考に大きな比重を占めていた。

最初に会ったのは面接だった。
30代前半、東京から盛岡に帰ってきて面接を受けた。地方では大きな会社の廃棄物処理業の子会社だった。
彼は現場の長という立場だったが…
その仕事の内容や進め方、将来の方向性など、彼しかわからなかった
しかし、彼の上司は、彼の言うことを受けれなくて悶々としていた
そこへ飛んで火に入る夏の虫のように小生が入社したのである。
彼は辞めようとしてところに、若く生きのいいが部下に入ってきたので息を吹き返した。
かれは壮大な夢を語りだした。

当時、岩手には大きな家電メーカーの工場が進出していたが、廃棄物の処理の問題が起きていた。
大手の廃棄物を、きちんと処理をする廃棄物処理業者が岩手には無かったのである。
それを”処理しますよ”と声をかけて営業し、運搬し、中間処理をし、最終処分をする仕事だった。
彼は、熱分解溶融炉を導入し、溶融したものから金属を取り出すことを考えていた。
要するに処分費用をもらって、貴金属を回収し販売することで二重の利益をするというはずだった。
ところが処分費用は大手は納得すれば出すが、中小は出せるところが少なく、処分費用はランニングコストもでず
回収するにも、貴金属の含有率が低く到底採算に合わなかった。
(回収して採算に合うようなものだったら排出事業所がとっくにやっている)
結局その仕事は頓挫し、遅々として処理業者としての経営も上手くいかず、小生は友人の依頼で再び上京し転職した。

彼は、その後も東京にいる小生にコンタクトしてきた。
そして4年後、勤めていた会社で内紛が起き、嫌気が差したところへ彼はやってきた。
「是非、岩手に帰ってこい。面白い仕事がある」と…
彼が考えていたのは、有機農業と廃棄物を組み合わせた仕事だった。
彼は一見、学者みたいな雰囲気を備えている
落ち着いた語り口、眼鏡の奥から鋭い細い目でにらみつけるさまは、黙っていれば学者然としている
その彼の語りだす言葉は情熱にくるまれて熱い。

工場から廃プラスチックを処理費用をもらって高温で焼却しその熱を利用して椎茸ハウスを運営する
その椎茸ハウスのホダ木を堆肥に製造し、農家に販売し、自家でも野菜や米を生産し、消費者に販売する
そして処理できないような廃棄物は、溶出しないように固めて地中に埋め、
その安定した地盤に水耕栽培をし当時流行っていた水耕栽培のハイポニカ農法でトマト栽培をする
その野菜くずは、すべて養鶏のエサにし、米の籾殻や稲わらは、敷きワラに…そしてその敷料は堆肥に…
堆肥には食品工場からでてくる食品残渣や、解体した中小家畜をも混ぜ込む。
ありとあらゆるものが循環し、当時の有機農業の最高技術を集めた仕組みだった。

ころっと騙された。
いや騙す気はなかったのだろう
彼は夢を語ったのだ。
それに乗ってしまった。

農業生産法人をつくり、合鴨農法を岩手で最初に実践し、有機農業を滋賀県にいって勉強し、椎茸施設園芸を学びに島根まで行き、熊本には油槽タンクの洗浄を習いに…、焼却炉の導入で香川に…、全国各地に勉強と実習で駆けずり回ったのが40代前半だった。

ふと気がつくと、施設や仕事は、どんどん進んでいるが…
資金が続いていかなかった。
それ以上に、一つ一つの採算が合っていなかった…
結局、農業の常として単価を高くしても、自然のものだから生産量が安定しない。
生産量が増えても、客は急に増えない。
それ以上に投資金額が多くて原価がかかって、それが値段に反映できない
そして一番の問題は「いいものは、売れる」という彼の意識だった。
販売力が決定的に欠けていた。

資金を担当していた彼に経営内容を聞くと…
彼は嫌な顔をした。
それ以来徐々に離れていった。
決定的だったのは「直売所をやりたい」「毒喰らわば皿まで…経営内容を教えてくれ」といった事だった。
彼は、湯気を立てて怒った。
何故怒ったのか?わからなかった。

 

辞めたあと、彼を被告として訴訟をおこした。
裁判所の受付に行くと訴状を見るなり
「あ〜彼ね!彼は取れませんよ」と受付の事務の人が言った。
裁判所では名前だけでわかる有名な人だったのだ。

 

しかし、誰だって相反する二面性はある。
その葛藤に悩むの人間なのだが…
だんだん自分も、サイコパスのような気がしてきた。