三連休の中日、それは突然起きた。

当然のこととして目覚めて朝、トイレに行く。
利尿剤を飲んでいるので頻尿なのである。
というよりも飲んでいる意識がない。
何と言っても三つの科から出されているクスリが10種類もあるのだ。
だから、その中の一つが利尿剤なのである。

睡眠時無呼吸症候群でシーパップを付けて寝るので、寝るのはあっという間だ。
しかし、起きるのもあっという間だ。
早く生活時永久無呼吸症候群にならないのか?と思う、今日このごろである。

そんな話を書こうと思っているわけではない
トイレから帰る途中、脱衣所を通り洗面所、クローゼット。玄関、温水製造装置部屋、居間、食堂、キッチンを通って、朝の珈琲を淹れようと湯を沸かし始めたときである。
(ウサギ小屋の自宅は、トイレとキッチンの距離は、3メートル前後である。要するにすべてが凝縮している家である)
ついでに母のみそ汁用に「瀬戸内海のいりこ」を、昨晩からいれてある行平にも火を入れた。

なんだか右足が生暖かい。
ふと足元を見ると、なんと血の海ではないか?
見渡した。
歩いてきた道のりの途中から、血がポタポタ落ち始めている。
何だこれは?

ふと左足のくるぶしから、蛇口からでる水道の水のように勢い良く血が吹き出して右足にかかっている。
「ウォー!これは血だ(当たり前だ)」

水流が…(いや血流か…)10センチぐらいまっすぐ飛ぶ。
散水のとき、ホースの先をつぶして遠くへ飛ばすような感じだ
笑ってしまう。

またか?
一年前、運転している最中に起きた。
飛び込んだ鍼灸院は「うちでは対応ができない。」と言って
「かかりつけの病院へいけ」と指示された。

今回は落ち着いて処置できた。
とりあえず近くにあったタオルを蛇口のところにあてがって…
それを抑えて歩く。
これはアクロバットのような歩き方である。
左足首を右手で押さえながら、三メートル歩け!ということである
人には見せられない…
第一こんな格好では歩けない。
ようするに這いずり回ってる感じだ。
とりあえずバンソウコ。タオルを巻き付けて止めないと…
バンソウコを置いてあるクスリ部屋の扉を開け、バンソウコでぐるぐる巻きにする。
あっという間にタオルが血だらけになり、こんどはガーゼとバンソウコで止め、その上からタオルを…
そんなことをやって部屋中、血だらけにしてる間に、魔子様が起きてきた。

「どうしたのあんた!」と優しい言葉かと思ったら、厳しい叱責の口調。
居間・食堂・キッチンと血の海を見つめて「どうすんのよ」と言いながら拭いて回る。
手際の良い魔子様は、あっという間に拭き終わる。
”居間食堂キッチン”も凝縮してある部屋なのだ。

「とりあえず病院に送っていけ」と魔子様に命令する。
よく考えてみたら、店に行って自分で運転して救急センターへいけばいいか…
タオルを巻き付けてその上からレジ袋かぶせ、裸足で車を運転する。
店に行き病院セット(保険証。お薬手帳・診察券・予約票・検査データー等々)のバックをもって救急へ行った。
三連休の中日の日曜日の早朝6時30分、客は二組、守衛が一人、事務は二人。空いていた。

対応した看護婦は、どんな状況か聞きに来た。
「止血だ止血。止まらない。水道の蛇口のように飛び出す」と口頭で説明する
わかったような顔して戻っていった。
そして待たせること15分。
若い研修医の部屋に招かれた。
「とりあえず傷口を見ましょう。見ないと話にならない」
「血が飛び出しますよ」
「見ないと…」
恐る恐るタオルを剥がし、ガーゼを徐々に広げると…
止まっていた。
「あっ!止まっている」といった途端

ビューと血が吹き出した

研修医と看護婦は「本当だ!」と言って飛び退いた。
「冗談だと思ったら本当だった」二人で口をそろえて言う。
「こんなの初めてみた」

そして「これは…」と言いながら「要相談ですね」と言いながら奥へ消えた。
しばらく待たせて先輩の研修医が現れた。
溜まった血が、なくなってきたのか…
水流(血流?)は細くなり、ダラダラと濃い血が流れて止まった。
先輩の研修医は「静脈の血ですね、糖尿で皮膚が再生できず、かさぶたが治らないのが原因です」と言う

左足の踝(くるぶし)のところの瘡蓋(かさぶた)が一向に治らないのである。
そこへせき止めていたのが体液が、瘡蓋が破れ一気に崩れ落ちたようなものである
台風10号の岩泉のようなものである。

破れた後は、すっかり体液が抜けてきれいな色の足になった。
それまでは、むくんだドドメ色の象の足だった。

めでたしめでたし

店では魔子様が、客に言い訳をしていた。
「すいません今日の朝定食は、店主が病院に行っているので、玄米が炊けません。昼には出来ますので…」
「朝定食の玄米を食べにきたのに…」と言って帰った客もいるという…