滝沢の武田哲が、米の納品に来た。
合鴨農法の無農薬の米は、武田哲である。
なんと言ったって、安心感が有る。
「倉庫を見に行ったら在庫がなかった」ということは一度もない。
一度有ったが…
“家の人が、勝手に別の産直に出荷していた”と言う

まぁそれと、ある程度の量をやっているので融通が聞く。
そういう意味で、長い付き合いである。
本来は、量を多めに引き取れば良いのだが、米用の保冷庫が小さいのと、
市会議員をやっている彼は忙しいのに、その合間を縫って、たびたび足を運んでくれる
彼も、さまざまな問題を話す人がいないのかもしれない。
こちらも、さまざまな情報を得るのに好都合なのだが…
そして彼は、支払った米代金で、いつも大量に買い物をしていってくれる
そうなのである。産直という仕組みは、地域循環の基本なのである
多くの農家が産直の売上金をもって、大きなショッピングモールのイ○ンへ買い物に行く。
産直の意義を、わかっていない農家が、ほとんどなのである。
行くなとは言わないが、もうすこし考えて行動してほしいのもだ
地元の人が地元の産物を買って、経済を循環させようという試みを
一生懸命、中央に吸い上げられる仕組みに加担しているのである。
おまけにイ○ンの産直に客が多いからと言って出荷している農家もいる。
単に利用されているだけなのだが…

循環の仕組みをわかっている彼は、いつも閉店間際にやってくる。

今日も6時までの保育園の迎えに行く間際にやってきた。
「どうだね米は…」
低温の日照不足で、米の不作が伝えられる。
心配して聞いた…
「私の田んぼは、まだましですが、雫石は、ひどいですね…
あちらにも田んぼが有るのだが、周辺の田んぼは、相当”いもち”になっています」と言う。
「まぁこの雨で洗い流されたら良いのですが…」

「いもち」である。
低温で登熟や受粉を心配していたが、「いもちがひどい」という。
「いもち」は菌である。
浮遊して稲につき、葉の中や(葉いもち)穂の中(穂いもち)に入り込み細胞壁を破壊するという
減収だけでなく、食味にも多大な影響を与えるという

30年近く前、農業の世界に入った当時。
「いもちが、蔓延」と言うニュースを見た。
実感がわかなかった。
当時は、岩手山麓の玉山で稲作を合鴨農法で始めた時期だった。
「いもちってなんだろう?」というのが率直な感じだった。
農家の仲間と関東に稲作の勉強をしに言った。
そこには赤い田んぼが広がっていた

”いもちにやられた田んぼだ!”と言う。
なんの圃場か?小麦か?と思ったが、稲作だとは思わなかった。
農家の仲間も「初めてみた。」「驚いた。」と一様に言う
一緒に行った農家は、みな西根・玉山の農家である。
後から調べてみると、稲の大敵いもちは、通風を良くすることによってふせげると言う
菌を吹き飛ばす風が必要だという
つまり西根・玉山は、岩手山麓の吹き下ろしの風が、自然に吹く地帯である
だから「”いもち”を、見たことがない」と言うのである。

なるほど!コレを逆手に取って…
稲の大敵「いもち」が発生しない岩手山麓で除草さえできれば、無農薬米が可能だ
と初めたのが、合鴨農法である。

ところが場所によって谷あいや山陰などのところで空気が淀むところはいもちが発生する。
雫石は奥羽山脈や、低い連なっている山が風の流れをせき止めるので空気が停滞しやすいのである。
適地適作と言うが、地域にあう農法が必要なのである

ところが「合鴨農法で無農薬で作ろう」という西根・玉山の生産者は増えていない
当時、岩手県北部は火山灰土でリン酸の吸収が悪いため食味がよくなく、低温で生育に問題が有るので「政府米地帯」だった。
ようするに収穫さえすれば、すべて政府が買い上げる地帯だったのである。(岩手県北部。青森・北海道は…)
工夫しなくても、つくれば買ってくれる所があれば、煩わしいことはしないのである。