ガオガオの鬼嫁と、ひょうたんなまずの夫婦はいつも、朝早く朝定食を食べに来た

なんで声をかけたのだろう?
確かウッドデッキで二人で、朝定食を食べ終わったころだっただろうか?
試作の豆乳を、持っていったような気がする

それも、たまたまである

よく考えてみると、寺の末娘に言われたような気がする
「店主が、きちんとお客と向き合わないと…」
そんな苦言を、この当たり障りのない夫婦に試してみたような気がする

ガオガオ様の鬼嫁は、試作の豆乳に的確な評価をした
そばにいたひょうたんなまずの旦那は、むにゃむにゃとした記憶がある

それ以来、いつも週末の朝一番に顔を見せた
いや、それ以前から来ていたのかもしれない

あるとき、絵を見せられた。
面白い絵と、言葉が書かれていた。
ひょうたんなまずの夫が書いたという、
あいだみつおの漫画版だった。
「この絵、店に飾ったら…」と付き合い程度に言った。
あっという間に、さっそく持ってきた。葉書が束になった絵葉書集と一緒に
店の中に「しみじみ画廊」のコーナーができた。

そのころ某お寺でもガオガオの鬼嫁と、ひょううたんなまずの夫が持ってきた絵をみて、
末娘の母親は
「面白いね〜、お金が余っているから檀家に配ろう」と言って
この絵をカレンダーにした。
「余っているなら、檀家の維持費を安くしろ」と総代は言ったようだ。
真偽は知らない。

それが回り回って急流堂という時代の早い流れに流されない、きよらかな水の出版社の眼に止まった。

いつの間にか本になった。
あいかわらず、ガオガオ様の鬼嫁は意気揚々と先頭を歩き、
後から肩を落として、ぴょこたんぴょこたんとついていくひょうたんなまずの夫は、朝定食を食べに来る。

寺の坊主は言う「あの男は深い」

五月中旬さわや書店で販売開始。全国で展開します。
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