先日、若い子にあった。
若い子と言っても、自分の子供ぐらいだから20代後半か?
言い争いになった。
「仕事が進まない。」と言う愚痴だった。
そして「本来、望まなかった仕事だった。」と言う

「辞めたら…」とアドバイスした。
逆説的なアドバイスだ。
辞めたら、次のところへ行っても、また同じことだ。
そこで自分の存在意義を見出さなかったら、どこでも見出すことはできないだろう

 

30代中頃、誘われて転職した。
3社目、2回目の転職だ。
「営業が足りない。能力の有るやつがいない」と言う
ベンチャー企業だった。
”削れる”セラミックスのメーカーだった。
セラミックスとは陶器のことだ。陶器だから、電気を通さない!熱を通さない!
しかし、陶器だから精密部品には適さない。
成型したとおりに、精密には焼き上がらないからである。
それを削れるようにして精密な加工ができるセラミックスを開発した。
世界的な特許だ。
「営業が足りない」と言われていたが、
部材としての対応技術や生産力に問題が有り。特許権の闘いがあって、思ったよりも当初の営業規模は小さかった。
そこで切削技術や部材の知識のないのは、他の部門に回された。

それが「遠赤外線」だった。
今でこそ調理家電メーカーや暖房家電メーカーから、遠赤外線の商品が色々と出ている。
30年前当時は、魔法の遠赤外線プレートだった。
なんでも遠赤外線で解決した。
魔法のプレートを入れれば甘く美味しくなり、早く調理ができ、問題がすべて解決するというスグレモノだった。
しかし、基本的に数値に現れない再現性のないものを、あまり信用しない小生は、商品担当ながら否定的だった。
「新しい削れるセラミックスを営業するために来たのに、こんな商品を売らされて…」
当然、営業が力が入らない。売上は上がらなかった。
そこへ、ベンチャー企業を吸収する大メーカーが現れた。
社員の多くは有名国立大・私立大と言う大企業だった。
そこから出向してきた優秀と言われる社員は、遠赤外線のプレートを売り始めた。
冷ややかに眺めていたが、それでは元からいる請われてきた営業としては申し訳ない。
遠赤外線の量産型の家庭用ストーブ、遠赤外線の自動車補修用の業務用塗装乾燥機を得意先のメーカーと一緒に開発した。
本社の技術部門は、営業が主体的に動く商品開発に否定的で非協力だったが、営業としては何しろものが無いと売上につながらない。
それ以上に、相手から反応が聴けない。
否定にしても肯定にしても、こちらの思い込みで生産はできない。
たたき台を作って、さまざまな意見を集約して次の商品開発に勧めなければ…
そんな思いだったが、社内では孤軍奮闘だった。

しかし、それを動いている間に、精密メーカーの基盤の遠赤外線乾燥機を受注した。
クリーンルームでの基盤への樹脂塗装の最先端の遠赤外線の輻射熱を利用した連続乾燥炉だった。

本社の技術部門の応援をうけられないために、下請けを利用して取り組んだ
技術部門から、さまざまな反発をされた。それを意に介さず、勧めた。
半年ぐらいの納期で、なんとか納めた。
相手の担当者から「次も…」という話があったが
技術部門から孤立したままの状態で続けるのは、問題が有った。
というか「農業」から誘いがあったので、移った。

心ならずも、「削れるセラミックス」から「遠赤外線」へと望まなかった仕事をさせられる羽目になったが、基本的には「営業」なのである。
「技術」と「営業」と「管理」と言う部門があれば、営業はどんな仕事でもこなせなければならない。好きとか嫌いとかいうまえに
その仕事の本質を理解しないと続くのは難しいだろう。
しかし、今の組織は営業社員に本質を教える前に、「単なる短期的売上」を求めているのではないだろうか…
組織に入るということは、組織の一員として自分を犠牲にするのが求められる。
ただ上司に、人を活かすとか、育てる意識があれば…救われるが…

一口メモ
遠赤外線は輻射熱である。
多くの遠赤外線効果と言っているのは、殆どが嘘である。
熱源と対象物の間に空気の層が無かったら、それは対流熱や伝導熱であり輻射熱ではない。

遠赤外線は寒い冬に締め切った窓辺で、太陽から感じる暖かい熱である。
電磁波による分子の共振現象で、離れていても熱を感じるのである。