たくあんと言うと懐かしい思い出しかない
というか…

たくあんでボリボリとご飯を食べた記憶しか無い
もちろん、最初からたくあんで酒を呑むような年齢には至っていない
もっともたくあんで酒を呑むというのは、落語の「長屋の花見」だろう
確か、タクワンは玉子焼きの代わりだったような気がする
しかし、今玉子焼きのほうが安いのではないか?
十個で二百円ぐらいの卵と、一本三百円のたくあんと、どちらが食べごたえが有るのだ

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そんなたくあんが、あちこちの産直で売られている
真っ黄色の甘いたくあんである。
そんなのは、沢庵ではなく、タクアンだろう(?)と思うのだが…

当店の熱烈なファンのお客様が、当店自家製造のたくあんを大量に買っていただく
「どうするのだ?」と聞いたら
「これが本物のたくあんだ!」と言って周囲に配るという。

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もうだいぶ前になる。
あまりにも色鮮やかなタクアンが農家から出てくる
そして、砂糖をまぶしたような甘いタクアンである

「こんなタクアンを、昔から作っていたの?」と聞くと
「うんにゃ。うめがら…」と言う

美味いという味覚が麻痺しているのではないか?
いやそれとも市販の漬物の真似をしているのではないか?
(市販の漬物は防腐剤代わりに砂糖を多用している)
いろいろと文献を探して調べた結果…

市販の漬物と似ているように作ると「売れる」と思っている。
「甘い」という感覚は、「美味い」と言う感覚である
(生まれた時に最初に感じる味が甘みだという。その甘さをうまいと感じるが、年齢を重ねるにしたがい赤ん坊のように戻る。
つまり甘いモノを欲しがるようになる。タクアンを作るおばあちゃんは、甘いのが美味いと思っているのである。)
そして市販の漬物の素である。真っ黄色の着色料と、ザラメを入れろというレシピ
以前の作り方と違って、「売れるもの」を造っているのである。
たぶん、行政の産直担当の指導者は。そういうふうに教えているのだろう

当店の熱烈のファンのお客様は、他の産直店で聞いたという
「なぜ塩だけの沢庵を作らないのですか?」
「”売れないから…”とポツリと言われた」と言う。
売れれば良いのである

そんな産直と一緒にされるのを嫌って「脱産直宣言」をした
10年前のことだ。
しかし、多くの人が当店を。まだまだ産直だと思っている
そして声が出る時から「産直が農家を駄目にする」と講演で何回も喋っているのだが…。
しかし、それも、なかなか浸透しない
「地産地消」や「身土不二」は、経済効果があるとなると、すぐ浸透する
ようするに売上が上がれば…儲かれば…すぐやるのである
儲かったほうが、勝ちか…?

産直とは、農家のじっちゃん、ばっちゃんの長年の技や文化を紹介するものである。
既存の流通を変えるものではない。
既存の流通が本来の役目、”モノのないところへ、モノを流す”ことが
”金のあるところへ、モノが流れる”ように変わってきたから、間違うのである。

いずれにせよ、当店の熱烈なるファンのお客様は塩だけで漬けた沢庵は
「噛みしめると甘みがにじみ出てくる」と言う
それを食べて日本人は、歴史を積み重ねてきたのだ

塩と糠と唐辛子だけのたくあん
子どもに伝えたい味である。