人参を買う客がいた。
もうテントハウスの時だから17〜8年前のことだろう
単に人参だけを買う客ならいつもいる。
その客は、若いのに夕方買いに来る。
それも人参だけを大量に!である。

最初は、どんな仕事をしているのだろうか…
と思ったが、真面目そうな顔をしている。

その時は、なんとなく話しかけたいが、
話しかけられないような雰囲気も持っている
それは病気のせいだったのかもしれない。
有るときは、年上らしい女性と一緒に来た
母親だろうか…年上の姉だろうか…

しばらく見えないな…
と思ったら、”九州に行っていた”と言う
なんでも”ガンの治療だ”という

そんな話があって、しばらくして来なくなった。
亡くなった。と人づてに聞いた

ちいさな野菜畑20年の歴史の中で、なぜか記憶に残っている客であった。

その客の遺稿集を出したという

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県職員で、スミレの研究者で森林インストラクターの第一号の人だという
そういえば、小岩井で環境問題をテーマに県のイベントをやった。
その時に店以外で初めて彼と出会った。
しかし、その時彼は主催者側ではなく、森林インストラクターという参加者側だったような気がする

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開いた最初のページに、カタクリの花が載っていた。
某朝日新聞の写真コンテストで秋山庄太郎賞をもらった作品だという

亡くなって16年。
”イトパン”と多くの人に親しみを込めて呼ばれていた。
こんなに多くの人に思い出を語らってもらった人がいるであろか?

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岩泉に行くと呑み会で必ず合う櫃取湿原の西間薫も…
高校で一級下の澤口たまみも、思い出を寄せている

そんな伊藤正逸の濃密な関係性の遺稿集を
自然とともに有りたいと想う人に…と編集人がおいて行った。

20年前、竹やぶと葛だらけの店の土手も、毎年せっせと草刈りをしていたら、
植生が変わったのだろうか、スミレが咲き乱れるようになった。