「電話があった」と魔子様
なんでも”銀杏を販売したい”という
「どこの生産?」と聞くと「盛岡の南だ」という

盛岡の南で銀杏を栽培している人と言うのは聞いたことがない
というよりも銀杏は。岩手は農作物として栽培しているのでなく
自家用として何本か植えている程度なのだが…

地元の産直で売れればいいのに…
わざわざ盛岡の北の当店に持ってこなくても…
何かあるのだろうか…一度話を聞こうと、
「ついでの時にサンプルを持って寄ってくれるように…」と伝えた

 

銀杏というのはせいぜい茶碗蒸しに入っている程度しか思いつかない
いや酒を呑むようになってから、焼いて塩を振って食べるというのを知った。
好物である
そういえば、大阪で御堂筋に植えてある銀杏を拾って歩いたことがある
東京から大阪に転勤した時の秋だっただろうか…
魔子様と一緒だった。
大阪にいた4年のあいだ、御堂筋を見下ろすビルに2年はいただろうか…
秋になると黄化した銀杏の並木と銀杏を思い出す。
懐かしい思い出だ


三連休のときに夫婦がやってきた
「銀杏を売りたい」という人だ
真面目そうな小柄な旦那と。ふてぶてして太めの女性の夫婦だった
「銀杏を30本程度栽培している。農協に出荷すると加工賃を引かれて手元にいくらも残らない」
だから自分で加工して売りたいという
男性はサラリーマンの土日百姓のようだ。
黙って入るが女性がどうやら加工をしているようだ
銀杏は拾うのは簡単だが、食べられるようにと言うか
あの売っているようの状態にするのが大変である

水にひたして果肉を腐らしてから取り出すと聞いた
臭いがスゴイとも

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その夫婦に取引条件を伝えて、
「銀杏は安定して入ってこないので、いくらでも…」と言うと
なんだか女性が、男性の脇腹をつっつき、帰りたそうな目つきで男性を見た
男性は小声で「持ってきた分だけでも…」と言っているが女性が拒んでいるようだ

結局、売りたいと言っておきながら、何もおかずに帰っていった。
魔子様が
「あの夫婦、売り場の銀杏を一生懸命見ていたわよ」という
売り場の銀杏は、市場から取り寄せたものである。
銀杏が今年は豊作で、暴落しているという

夫婦は先週、見に来て銀杏が出荷されていないから、置きたいと来たのだろうが
今週は市場から、やすい銀杏が大量に出てきていた
銀杏が出ていなければ、”高く売れるだろう”と思って持ってきたが、安いのがあったので帰っていったのだろう
確かに労力以上に安い価格では再生産の意欲がわかない
と言って、労力に準じた価格では、需要と供給のバランスが保てない
産直と市場流通の間では、このアンバランスがしょっちゅう起こる

生産者は安いだろうと「100円」の値段をつけるが
市場価格では供給過剰で「50円」の生産者価格しかつかない
消費者への販売価格は80円になる
つまり産直で100円だが八百屋では80円ということがよくある

産直が必ずしも安いとは限らないのである