魔子様が「”おにのひ”って何?」
母親のデーサービスの連絡帳を見ながら言った。
横から覗きこむようにみていた母親は「なんだろうね〜”オニノヒ”って?」

 

週に1回デーサービスに通っている母親が戻ってきた。
まるで幼稚園児に戻ったように、毎回ディーサービスの出来事が記録された連絡帳を持って帰って…
それに食事の内容と水彩画の教室のテーマが書いてあった。
水彩画の欄には「鬼灯」と書いてあった。
書道をやり、水彩画を得意としていた母は、いつもぼめられるらしい。
いつも水彩画のことを聞くと「褒められた」と嬉しそうにいう。
しかし、ほんの数時間前のことを忘れている
魔子様が問う「今日は何を書いてきたの?」
「そおね〜、別に描いてこないよ」
魔子様がスケッチブックを取り出して
「ほら、ほおづきが描いてあるわよ」
「あら本当だ。」
「ホンモノを見て描いたの?それとも写真?」
「どっちだったか?わたし描いたの?」
「ほら、おばあちゃんのスケッチブックよ」
「そうだね。わたし描いたの?」
「ほら、今日の日にちまで書いてある」
「あらそうだ。わたし描いたの?」

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認知症の忘れっぽさはすごい。
母と話していると、今話したことをオウム返しに聞いてくる。
それを辛抱強く答えていると、すぐに30分や小一時間過ぎてしまう。
だんだん飽きてきたのだが、デーサービスでは、
同じような老人たちが、同じことを何度も繰り返ししゃべっているのだろうか?

認知症の母親と話していると、こちらまで忘れっぽさが伝染るような気がする
「おい!売上金知らないか?」
「知らないわよ」
「たしか〜さっき勘定したのだが…}
「だったら、そのへんにあるでしょう?」
「いや、さっきから探しているのだが、見つからないのだ」
「さっき有ったのなら、どうせ家のなかよ」
「いや、そうなのだが…見つからないのだ」
「どこを歩いたの?」
「トイレとキッチンと…書斎だけだが…」
「じゃあ〜大丈夫よ。どこからか出てくるわよ」
「いやぁ〜しかし、もう15分も探しているのだ。そろそろ眼科の視野検査の予約時間だ。」

あきらめて車に乗ってすぐ、魔子様からCメール。
「ありました。机の上に!」

重ねた本の下にあった。