「ひさしぶりだね」とひげ面の医者が、長いホースのような胃カメラをしごきながら言った。
”先生!つい4〜5日前にも、そのホースをけつの穴に…”と言おうと思ったら
「グイ」と言ってホースが喉の奥に入ってきた。
内視鏡の胃カメラである。

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胃カメラは、三年前ぐらいまでだろうか…頻繁にやった。
食道の手術痕が狭まって、食べ物が流れていかないのである。
よく噛んで流動食のようにして流し込むと、じわりじわりと流れていく。
だから、従来のような食べ方、”がわぁ〜!ガシガシ、ゴンゴン”というような食べ方はできない。
だから時間がかかるし、食べてる途中に人が来ると、慌てて飲み込むが飲め込めない
食道に引っかかって、のたうち回るのである。
水で流し込めば流れていくのだが、頑固な詰まりは水も通らない。だから、もどすしか無かった。
宴会には出たくないい。まして飲み放題・食べ放題などは嬉しくも、なんともない

麺類も、”ズルズル…ドシドシ!!”というような食べ方もできない。
よく噛んで”グチャグチャ、ネチャネチャ、カミカミ、シルシル”という食べ方(?)である
こんな食べ方をしていたら、池波正太郎に怒られるだろう。
だから蕎麦屋。ラーメン屋。うどん屋は、以前は鬼門だった
そして店でも”まかないの蕎麦やウドン”は、食べられない。
奥で食べていても、急に「お客様!」と呼び出されるからである

治療は、狭まった手術痕の部分で胃カメラの先端から風船を膨らますのである。
最大に膨らますと、胸がいっぱいになる
そのぉ〜なんというか…
初恋の時に、校舎の玄関口で、すれ違った片思いの人を想う感じだ!
胸が張り裂けそうになる。

そういうわけで、じっくり時間を掛けて、液体とともに静かに流し込む
と言う食事のスタイルになったのが30kgの減量である
当然1,200キロカロリーも入らない。
魔子様と外食にいっても「一人前と小盛り」を頼むと、
小生の前に「一人前」魔子様の前に「小盛り」を持ってくるのが普通だった。
それをこれみよがしに「交換」しても、食べ終わるのが魔子様が早かった(泣)

ダイエットに悩む多くの人々に薦めたい「食道癌」を…

 

そんな胃カメラは、前日の夜9時から絶食である。
小生の時計は大分遅れていたようで、だらだらと呑んでしまった。
時計が遅れていた事にしよう。

突っ込まれたホースのようなカメラは、先端がチカチカ光るオリンパスの製品だった
最近オリンパスは聞いたことがないと思ったら、こんな医療光学機械に特化していたのだ!
喉の奥には麻酔がかかっているが、結構「あたる」
痛いという感じではないが、あたって「苦しい」という感じで唾液と涙とが一緒に流れて…
オリンパスのモニターをひげ面の医者と一緒に眺めながら
「ごめんね、痛くて…」と社交辞令を言いながら、グイグイと無視してカメラを突っ込んでくる
「ほらこれが手術痕、そろそろ十二指腸の入り口だよ!」

喉の入り口から、、縫い合わせた手術痕、胃を伸ばして作った食道、細くなっった胃、
そして出口の十二指腸とくねくねとまっすぐ曲がった、ひだひだのピンクの通り道を一緒に眺めた。

「アッ!あそこに黒い点が!そこをクローズアップして!」
と言ったつもりだが、カメラを突っ込まれているので
”モゴモゴ…”しかたなく”アイコンタクトで…”
医者は気持ち悪そうに目を背けてモニターを見ていた
よく考えたら、朝作ってきた玄米お握りの”胡麻だったかもしれない”
と独りで納得した

「そろそろ終わるね。空気を抜くから…」と言って、10分ぐらいだっただろうか
スッポンと胃カメラを抜いた。そして

「大丈夫だね。この前の大腸カメラもできものが見つからなかったし…」
3.11の二月に手術して4年、再発はしていないようだが…

この食べ物が喉を通るとき、焼けるような痛みは…
やはり食道炎なのだろうか…