「女」が何者かまだ知らない時代。
(時代の変遷=女は美しいと思っていた時代。女も人間だとわかった時代。最近、女は…とようやくわかった。)
ようするに男女の区別なく遊んでいた幼いころ。
山芋は、大好物だった。
その頃の食卓にのぼるものといえば、
納豆、卵、ほうれん草のおひたし、しおびき(焼鮭)、煮魚という単品のおかずしか記憶にでてこない
まるで江戸時代の食事風景のようだ
江戸は、ご飯と味噌汁とつくると棒手振の納豆や佃煮や惣菜を売りに来たという。
それを一つ買い求めて朝食にしたという

そのなかに時折出てくる(ひょっとして冬場だけ?)山芋は、大好物だった。
するするするとご飯が何杯でも流れて入った。
その山芋を食べるのに味噌汁が必要だった。
山芋を味噌汁で伸ばすのである。
三人の子どもたちが、腹いっぱい食べた後、残った山芋に醤油をかけてすすっていた母親が居た。
「かわいそうに味噌汁が無くなってしまったのだ」と子供心にイッパイ食べて申し訳ないと思った。
”大きくなったら腹いっぱい味噌汁で伸ばした山芋を食べさせたい。”と親孝行を固く誓った

社会人になって、居酒屋に行った。
「月見」というメニューが有った。
なんだろう?月見というのは…
一度食べてみるか…と頼んで出てきたのは、すりおろした山芋に卵の黄身がのって、海苔の粉が降られていた
美味しかった。いやもうイッパイ食べたい。と思いながら酒を呑んだ。
「やまかけ」と言うメニューも有った。
なんと鮪の刺身にすった山芋がのっかっているではないか?
これまた絶品である。
とりあえずするするズルズルというものが、大好きなのである。

静岡に行った時は、とろろ汁定食。なぜ麦飯か?わからないまますすった。
とりあえず高価なとろろをあますところなく、丼からこぼれたものまですすった。

農業の世界に入って、岩手町の畑では秋になると山芋の棚が紅葉して落葉するのが晩秋の風景となり
「早掘りはいけない、早ぼりは、擂ると赤くなるから…」と教えられた
しかし、ひとより早く出したい。早く食べたい。と早堀して時折赤くなったとろろになってしまった。

そんな山芋を前に、農家に聞いた
「山芋に味噌汁かけてよく食べたよね。こちらも?」
「うんにゃ、山芋はすって、醤油をぶっかけて食べるのが一番だ!」と言う

う〜ん、あの時代、味噌汁で伸ばして食べさせられていたのか?
おふくろだけ、美味しいものを食べていたのか?

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本日の朝食は、数日前の焼きおにぎりの売れ残りを、きゃべつまるまんまスープで煮崩し、賞味期限が切れた豆蔵(秘伝豆のオリジナル豆味噌)で煮込み、出てきたばかりの岩手町田中清憲のやまいもをすりおろし、江刺の菊池農場の黄金卵をおとした「月見味噌にぎりくずしおじや」である。