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”ズルズル…ズルズル…”というサンダルを引きずる音と
”カチャ、カチャ”と言う杖を付く金属音が早朝の庭に響く
母である

股関節が悪くて歩けないというのに、「歩かないとますます悪くなる。」と言って、両手に杖を付きながら歩きまわり、
庭で転んで向こう脛が腫れ上がって棒のようになっているのを、医者にも見せない
もう90に近い。

それに認知症だ。
自分がしたことをすぐ忘れる。食べたことも…
そして誰かのせいにする
しかし、気が強いから弱みを見せない

 

そんな母が、母屋から杖を付きながら歩いてくる
部屋に灯りが灯っていると…夜となく、朝と無く
「だれかに部屋を荒らされた」と言って窓を叩く
言ってみると、部屋が荒らされた形跡がない
几帳面な母親は、置いてある場所が変わっていると荒らされたと思うらしい
自分が何かのついでに、横にどけたものまで…

 

認知症で独り暮らし、日常のことは歩くことを除けばできる
そんな母親は、「老人ホームは行きたくない」と言う
棒のように膨れ上がった足も「医者には見せたくない」と言う

ある若者が言う
「何かあったら管理責任を問われる」
その言葉に右往左往している周囲の大人たち
組織ならともかく。家族に管理責任とは…

90近い老人が他人に迷惑をかけない程度に生きている
もし、何か迷惑をかけることがあったら、自分が責任を負えばいい
その覚悟ができているかどうかだ

ただただ心穏やかに人生を全うして欲しいだけであるが…

 

そういえば、こうさんは、たぶん人に迷惑をかけない生き方をしたのかと思った
肉や魚をたらふく食べ健啖家と言われ、大酒を飲み、血圧も測らなかった。
西洋医学にもかからなかった。血管がぼろぼろになるまで…
亡くなる数日前に「血圧が200まで上がったが。翌日150まで下がっった」と言っていた
血圧の数値を初めて聞いた。

血圧を測り、一喜一憂し、薬で調整しながら、多くの人の介護を受けて…
と言う生き方と
自分のしたいように生きて、周囲に迷惑をかけないでポックリといく

どんな生き方が良いのか…
どんな終わり方が良いのか…