「放射能の件で電話!」と魔子様の電話の呼び出しが、一日に何回もある。
最近、見知らぬ客が多くなってきた。
そして「測定できるの?」と言ってレジに生椎茸を2個、持参する客もいる
なかなかスタートできないでいた放射能の測定も、徐々に形が見えてきた。
スズリョウのおかげである

集荷に行ったくろちゃんの代わりに、水やりをしていると、いつものように
「放射能の件で電話?」と麻子さまが‥

電話の主は一方的にしゃべる
「この前聞いたモノを用意したから、午後持って行きたいのだけど‥」
「すいません。このまえっていつ頃ですか。どちらのどなたさまですか?」
こういう独りよがりの話は、大体年寄りが多いのだが
午後来たのは、近くに住む老人だった
道理で先方は、こちらのことを知っているから、電話の口ぶりになるのだ

「天保山の下で採ったわらびだ」と言って切り刻んでもってきた。
「どのへん?常光寺の近く?それとも発電所の近く?それとものぼり口?」
「んだ!発電所の‥」
「何時採ったの?」
「今朝だ!いつも採って食べているのだけど、あの辺は一杯ある‥」

スズリョウは、これでも「粗い」というが、すぐに測定器にかけてくれた
老人は、心配そうにのぞき込んで‥

測定の結果予想は、すぐ出た。
スズリョウは、早く伝えてあげたいのか
「大丈夫ですよ。こんな波形ではセシウムは検出しませんね。
これはカリウムの山です、ほらぎざぎざが綺麗な山をつくらないでしょう。
測定が○○で定量下限値が○○だから、殆どありませんね」

しかし、おじいちゃんは「定量下限値」も「ベクレル」も、いや「放射能」と言う言葉自体も恐ろしいと思っているのか?
何を言われても、納得しないような顔をしていた
「おじいちゃん!いくつ?」と初老(?)の小生が問うと‥
「んにゃぁ80に近い、77だ」
「大丈夫だよ.食べても。癌を発症するのは20年後だから‥、美味しいモノをたらふく食べた方が長生きするよ」
「そうだべか?足腰はしっかりしてるし、あと10年は生きられるから‥余り高いのは‥」
「じゃ〜何ベクレルだったら心配なの?」
「ん〜200かな‥300かな‥1000以上だとやっぱ‥」
「じゃ〜国が決めている100ベクレル以下なら安心して食べるの?」
「う〜ん、まんず」
と言いながら、まだ納得しないような顔で

「なんぼすか」
「まだ試運転だから。良いですよ」
何回も何回も頭を下げて帰って行った。