ゼツインショク」とひげ面の医者が言った。

 

入院5日目。ようやく治療らしい治療を始めた。
それまでは、手術を受ける前段階のなのだ。
バルーン拡張を「手術」というのが正しいのか、わからない
領収証には「手術代」として書いてある。

 

二週間の入院で3回程度バルーン拡張をすれば、いいだろうと言う見込みだったが、その一回目だ。
朝飯は抜き、とりあえずバルーン拡張を済ませてから昼食を…と内視鏡室へでかけた

手術台に横たわる。しかし、横になって寝るというのは、格好にこまる
足を曲げて…両手を組んで…まるで赤ん坊のようであるが…
こんな姿は、人には見せられないが…

それでおしゃぶりを咥えさせられ、カメラを口から突っ込まれる
このカメラが、竹で作ったヘビのおもちゃのようなイメージである。
単にカメラだけでなく、開いたヘビのような口から様々な物が出てくる
小生の場合は風船だが…。そのほか傷口を洗い流す水。止血剤。障害物を取り除く鉗子等々

横たわった手術台の上部には、パソコンのような画面が広がっている
それを見ながら医者と話をするのである。(嘘)
口におしゃぶりを咥えているから、しゃべることが不可能
医者の解説を聞いて、うなずくだけである;
しかし、自分の体内をカメラで見るというのは、面白い物である
60年使ってきた身体だから、あちこちに汚れが…と思ったら、結構ピンクでキレイな物だ
食い物の粕が引っかかって、これが当たり前なのか?と思ったらある日は、何も残っていない
直前に食べたものや、前日食べて胃袋に落ちていかない物が全部写るようだ。
医者は、カメラをグイグイ押し込んでいくが、そんなに圧迫感はない。
そうすると画面に、台風の目のような穴が見えたところでカメラは止まった
「バルーン」と医者は言い、看護婦は慌てて何かを渡す

そうするとその細い針金状の物を口に突っ込んでいるヘビ状のカメラのしっぽから突っ込んだ
と思ったらあっという間に、画面に映ってきた台風の目の中心部へ行くと膨れあがるのである。
「3で1分」「5で1分」「8で2分」という指示に基づいて看護婦が風船の膨らます度合いを測っている
この3とか5とか8は、後から聞いたら気圧であると言う
どおりで広げた直径とは少し違う

今回の入院は外来で12mmしか広げられない食道を、15mmに挑戦しようということである
ところが今回の一回目は、バルーンを広げて出血が多すぎてよく見えない状況が続いた
とりあえず外来でやっている状況と同じ「8」で止めたが…
その後、止血がうまく行かない。
止血剤をいつもは1〜2回で収まるのだが、今回は3回かけても止まらない
画面が出血で真っ赤になり、ひだひだを赤い血潮が走る。
医者は「とまらんなぁ〜」と言いながら「焼くか!しかし、その後が…」とぶつぶつ言っている。
「バルーンで圧迫するか}」と言って、もういちどバルーンを膨らましてその状態を保った。
バルーンを小さくすると、幾分出血が止まったような感じではある。
「ちょっと様子を見よう」といってカメラを引き抜く医者
所在なさげにベッドの上で、おしゃぶりを咥えている小生(泣)

約10分後、「どうですか?具合は?」と言うが、
沢尻エリカではないが「別に!」

調子は変わらない
「今回はここまでで、少し様子を見ましょう」

「今日は絶飲食」

と言い渡されたのである。