仙台に行った。
愚薄禿号を運転して…

小生の愛車「弊衣破帽号」は、棺桶は詰めるが、ナビがない

しかたがないので人間ナビである。
しかし、これでは仙台のごちゃごちゃした街中の家を探しながら走り回るには、不便だ
ひょっとして顔つきと車からみて、”泥棒か?”と通報される

そこで魔子様の愛車、「愚薄禿号」で、出かけた
愚薄禿号は、屋根が禿げている

別に意識して買った訳ではないが…
たまたま在庫が、これしか無かったのである
以前の車が、リッター6kmしか走らないので、車検を前に慌てて買ったのである
「スポーツタイプです」とデーラーは言うが…
車がスポーツをするのか?と思ったがそうではないらしい
なんだかギアに「S」というのが着いている
「なるほど、だからスポーツタイプか?」と思っているが、よくわからない

購入してから早速名付けた
「愚薄禿号」である。

これは「ぐはくとくごう」と呼ぶのではない
「おろかなうすはげごう」と呼ぶ

小生が生まれる前に、親鸞という偉い坊さんがいた
親鸞は僧籍を剥奪されて流罪になったときに「愚禿(ぐとく)」と名乗ったという
その親鸞上人に、あやかって付けたのである
「愚禿(ぐとく)」と名乗るほど、偉くはないのでそれを薄めたのである
それで「愚薄禿(おろかなうすはげ)」という

その愚薄禿号にのって仙台へ出かけた
愚薄禿号は、ナビが着いている
ナビは好きではない。大体が”人に指図されて行動する”というのが苦手ある
人と違う方へと違う方へ歩んできたのが、こんな人生になってしまった
だからナビが「左へ曲がれ」と言っても、右に曲がる。

盛岡の町を抜けるまでは、どちらに曲がろうとも高速に乗れる。
街中では、「あっちいけ、こっちいけ」と指図していたのに
高速では「しばらく、道なりです」と黙る
「うるさい、そんなこと分かっている」と怒鳴り返しても知らん降りだ
ときどき「合流地点です、車に注意」と怒られたせいか。かぼそげにささやく

弊衣破帽号は、車の中がうるさい。ゴォゴォという喧噪の中で運転に集中できる
愚薄禿号は、あまりにも静かである
直線でナビも、何もいうことが無いのか?
「こんな時こそ、なにかしゃべれ」と思うが…黙っている
命令してみた

「歌でも一曲やれ」「風景の解説をしろ」「近くに良い飯屋がないか}
「そろそろ休憩したいが…安いホテルは…」「いい女がいたら知らせろ」
「一杯、酒を呑ませろ」「酌をしろ」「背中を掻いてくれ」

「…」無言である
つまらない女だ!

予定していたインターより二つほど手前のインターで
「ここで降ります」という
”おかしい”と思いながらも、
”ひょっとして近道が、あるのか?”仕方なく降りた
インターを降りて、右へ行こうと思ったら
「左へ曲がれ」という
”そうか別の高速の入り口があるのか?”
と左へ曲がったら、細かい道を右へ右へと行って、なんだか元へ戻ったようだ
「おまえ、おちょくっとんのか!(怒)」と怒鳴りつけて、アクセルを蹴飛ばした

仙台の南へ行くのに、北でおろされ、街中を走らされた
おまけに指図が早めに出てくる
「左へ曲がれ」と左車線によって曲がろうとしたら、どうやらもっと先のようだ
しかたなく。まっすぐ車を進めたら。渡った交差点の信号は、赤だった
「てめい!俺を殺す気か!」と怒鳴りつけてブレーキを蹴飛ばした

そんなこんなで、心身ボロボロで、目指す家に到着した
車を停めて家の表札をみると、名前が違う
「わりゃぁ〜、どないなっとんだ」とボディを蹴飛ばした
よく見たら、その家の前のうちだった

往復400km、心身ボロボロで、車もボロボロ。
きょうから、愚薄禿号は工場と言う名のドックへ入った。