心臓外科の主治医は、定期検診の時に
「報告があった!重症の睡眠時無呼吸症候群だってね」
「いや先生、中程度だって言ってましたよ。まだ安静時無呼吸症候群までは時間があると…(笑)
でも最近、少し胸焼けがするのですが…」
主治医は、にやにや笑いながら
「一度、消化器内科で見て貰った方がいいね。紹介状を書くから…」
 

その日の消化器内科は、混んでいた。若い医師は
「じゃぁ胃カメラを呑んでみましょう、胃カメラの検査は混んでるだよね〜」
「胃カメラは、苦しいじゃないですか?」
「人によるよ!麻酔をするから…」と、こともなげに
そんな三分診療で、予定日を決めた。
 

恐怖の胃カメラである
そうとう苦しいと聞いている
だいたいあんな大きなカメラを呑みこむなんて…(デジカメを想像している)
口が裂ける、喉が通らない押し込まれる。
息が吸えない窒息の恐怖、
やはり口が裂けても痛くないように、麻酔をするのだろう
そんな日々を過ごしながら、当日になった
 

胃カメラは内視鏡室に行った。
内視鏡というからには外視鏡というのもあるのか?
(それは単なる鏡か?)
そんな事を考えながら、注意事項を聞いた
「麻酔をしてから胃カメラをいれます、途中で空気を入れますから…」と

そして、ベッドに腰掛け「これ呑んで…」
なんだか小さな容器に入った液体を呑んだ(造影剤か?)
そのあと、
「これは麻酔ですから上を向きながら嘗めてください」
ちょっと大きなあめ玉のような凍った白い氷を口に放り込んだ。
「あま〜い」(どこかのグルメリポーターみたい)
一〜二分で溶けた。なんだか麻酔が効いたような感じがしない
「横になって…」
ベッドに横になっていると、口に赤ちゃんのおしゃぶりのような物を
ポンとはめ込まれた
(こんな格好は、人には見せられない。まるで乳幼児だ)
いつの間にか青い服をきた医師が…蛇のような物を抱えてそばに立っていた
それをおしゃぶりが空洞になっていたところへ、グィと突っ込んだ
ゲッ!
涙がでる、なかなか入っていかない
ゲッ!ゲッ!ゲッ!

痛いとか苦しいとか言うよりも、なんだか飲み込めない大きな物で喉を圧迫されているような感じだ
数分だろうか、数十秒だろうか、医師は蛇のような物を回しながら、押し込んでいった
喉を過ぎると、今度は胸の中に”太い一本うどん”のようなものが入っているのが分かる
”あ〜あ、入っている。このままどこまで押し込まれるのだろうか?
ひょっとして間違えて肛門まで行ったらやだな。戻すときに付着した物が口の中に…”

そんなことを考えていると、なんだか腹の部分が膨らんでいる。何かを入れたようだ
そうか空気か?
なるほどカメラが、広角で撮りやすいように胃に空気を入れたのだ!
ただでさえ大きな胃袋なのに、こんなに膨らましてどうするのだ!
腹まで、ふくれてきたじゃないか?

と思った途端、抜き始めた。
抜くのは簡単だ。あっという間にポンと抜けた
医者は、ベッド脇のモニターを指して
「ほら、ここにおかしいのがあるね、パイアスピリンを飲んでるから切除できないけど…」
と言う、心臓外科から貰っている薬に血が固まらない薬が入っているらしい
「こんどその薬を止めてから、叉胃カメラを…」という

また再度胃カメラを予約して病院を出た

「麻酔が効いてるから二時間は飲み食いしてはいけない」と看護婦は言う
前の晩9時から何も胃に入れていない。
もう2時だ。合計17時間も胃袋が空っぽだ

こんなことは、人生の中で無い!
あの貧しい学生時代だって、友達の部屋からインスタントラーメンを盗んで食べたり
ソー麺を電気ポットで茹でて醤油をかけて食べたり。
いつでも食べることには、どん欲だった。

さっそく市内ではちょと有名なとんかつ屋に飛び込んだ
「スタミナ味噌ラーメン」を注文した
おおきな器には、赤い汁にたっぷりのもやしと、とんかつが沈んでいた
いざ箸をとろうと。尻を上げたら
尻の方から、大きなゲップがでた
周りを見渡した。回りはこちらを見ている
しらん振りして、大わらわでラーメンをかっこんだ
そうか、あの空気だ!

「胃カメラを呑むと、尻から大きなゲップが出ます」と注意事項にかけ!