荷物を積み込んでいたところへ岩崎善隆が、昼飯のために戻ってきた
「稲刈りは終わったが、今度は牧草刈り、それが終わったら大豆の収穫」
と言って車を降りてきた

そして終わった稲刈りを見ながら
「所得補償は、半分しか出ないという噂だ…、単なる票集めの政策だった」
大体多くの農家は、自民党支持である。民主党の政策を悪く言う

遠くの方を指さして
「あそこんちは、飼料米を作付けして一反歩8万入ってくる、弟を雇ってほくほくだべ」
所得補償は減反をしている人が対象で、その減反に指定作物を作付けするとまた補助金が出る。

「カメムシ防除をしないでライスセンターに持ち込む人もいる。”どうせライスセンターで色選をかけるから”…と言って」
カメムシがつくと白い米に黒い斑点がつく、それが多いと二等米になるが、農協では一等米も色彩選別機をかけて、粒度も白度も揃える
他の農協よりも品質が良いというアピールのためだ

「おらほの農協は、在庫が無い。他の所と違って高く売れないから、高いよりも一杯売れる努力をしている」と自嘲気味にいった

「くず米は、50円/kgだったのが今65円ぐらいになってきた。青森農協が一生懸命集めに来る」「青森農協」とは”くず米屋”の別称である。
もともと政府米地帯の青森では、混米用のくず米を集める業者が、懐に札束を入れて現金で岩手の農家のくず米を買い集めに回っているのである

「10年後には、みんな辞めているだろうが、それでも農地を手放さないと言う人が多い。目先の事しか考えていない」
この集落では、若い農家は息子の「隆」しか、いない、そこに農地が集約するだろうと思うのだが、そうでもなさそうだ。
農地を貸すこともしない。後継者もいない。補助金がもらえるなら、手放さない、と言う農家が多いのだろう

 

彼と話していると機関銃のように様々な話がでてくる
ついつい立ち話で30分ぐらいはざらである
毎日、毎日、土と向き合い、家族で仕事をしていると、他人と話をしたいのだろう
自分の想いを、確認するために…