「とっついたばかりです」
と渡辺晴久は、籾すりをしながら”稲刈りを始めたばかりだ”と言った

雨で稲刈りが出来なくて、お母さんと一緒に、籾すりをしていた
「陸羽は。なんぼ採れた?」
「83袋です。注文は84袋だったのですけど…」

陸羽132号は、わしの尾酒造で純米酒にしている

一番ちいさいロットで84袋(42俵)なのだが、今年は豊作かと想ったら、案外採れなかった

「少ないけど…。どうするのだろう?」と彼は困ったように陸羽の米袋を見上げて言った

今年は、高温で,高温障害はあるが、量は採れるだろうと思ったがそうでもない

夕方、米を納品にきた武田哲は。
「まだ自分のは刈っていない。他の人の稲刈りをしているが…平年作は採れない
春の低温で分けつが進まなかったようだ」という

そうだ余りにも夏の暑さが厳しいので、春の寒さを忘れていた
収量に関連するのは、6月7月の分けつと8月9月の積算温度である
籾に十分にデンプンが溜まるのは積算温度の関係であるが
肝心の籾数は、春の分けつ(稲の茎の増殖)が問題である

どうやら今年は、高温障害よりも、分けつの少ないのが、大きな影響を与えるかも知れない