「お爺さんが…”死にそうだ”と言っている」と魔子様が言う
いつものFさんだ
胡瓜の辛子漬けが好きで、それを食べながらご飯を食べる
それがないとご飯が食べられないと言う
それも”和田三男の辛子漬け”でないといけない
一年中、三パック五パックと買い求めるが…
足がないので。娘さんが買いに来る
ところが娘さんも働いているので、その間は配達することになる
三パックもっていくと
「ありがと、ありがと、釣りは良いから」と言って
「コレがないと…」と言って何度もお礼を繰り返す

 

呼び鈴を押して、無施錠のドアを開ける
玄関の正面の廊下の奥から、歩行器に伝わってお婆さんがゆっくりと向かってくる
「これが食べたくて…。コレさえあればご飯はいらない」
道くさの嶧の小麦団子だ。
歩行器の台に小麦団子と野菜をのせて…
「配達してくれるなんて、知らなかった。これからも頼みます」
と何度も頭を下げる

 

県営アパートの三階にあがる
お婆さんに野菜を渡す
「少なくて申し訳ありません」と言って
紙に包んだ

くれた

 

ブザーをならすと「どなた様ですか?」と聞く
名乗ると、しばらく立ってから、ようやく引き戸が開く
でてきた車いすの人は、「暑いところをすいません」と言って

いつもくれる
ケースで買って冷やしてあるのだろうか?
週に三回も四回も配達する

 

生活弱者と呼ばれる人が、ニュータウンや街中に大勢いる
どこにも出かけられない人が…
ドイツでは、新規の生鮮品を扱う店は歩いて行ける範囲でしか認可されないと聞いた

今朝の地元紙は、産直のフルーツ祭りの特集をしていた。
その実行委員長は、「産直は食や命の再認識の場」という
そこまで行けない人も大勢いる