工藤昇のハウスは、ガランとしていた。

”花苗は売り切れ”と言うよりも、伸びすぎて処分したのが多いのだろう
JAから依頼されたピーマン苗の出荷も終わり、後片付けをを腰の曲がったお母さんがしていた。
「昇は?」というとお母さんは「そのへんに…」と言いながら”時計草”の苗を出してきた
つる性の苗は、管理が大変である。からんでからんで、そのうちに「面倒くさい」といって
大胆に切ってしまうのである。

今年はつる性の苗を、”ほとんど作っていない”が…
そういうときに限って「欲しい」という客が目につく
 

遠藤幸悦は、いつもいない。
独身なので、いつも畑に行っているのだろうが、
どこの畑に行っているのか、探す時間もない

しかし、メッセージはある

「今日現在、無農薬」と言われてもなぁ〜
店では”無農薬表示”は、出来ない
「無農薬」という表示は、JAS有機をとったところだけである
「農薬を、かけておりません」という表示は出来る
法的には「無農薬」は商品を現し「農薬をかけておりません」は栽培説明だという

しかし有機JAS法も「有機」と表示できるのは「有機栽培を出来る環境にあるシステム」が認証され、そこで収穫された物が有機と表示できるのである
(有機=無農薬で化学肥料を一切使わない商品。有機の中に無農薬が含まれるが無農薬=有機ではない)
つまり、その商品に他所から飛んできた農薬がかかっても、その人が無意識で間違えてかけても、(わざとではなく)有機と表示できるのである
商品の保証ではなく、栽培できる環境にあると言う証明なのだ

しかし、こんな表示は意味があるのだろうか?
長い流通過程では、意味があるのかもしれないが…

こちとらは、顔も、家族も、性格も、田んぼも、畑も、家の中まで、丸わかりなのだから…