「吉田淳」という名の仕入れ先の人がいる。
”山のさっちゃん”という牛糞堆肥を納入している盛岡アビリティの担当者である。
様々な農業関係の仕事に携わった経歴を持つ人である

「高橋淳」という生産者もいる
”高橋農園”の社長である。無農薬でぶどうをつくる篤農家である
まだ若くて(若いと言っても40代後半だが…)農業の6次産業化を積極的に薦めている農家である
{6次産業=1次産業(農業)+2次産業(農産加工品)+3次産業(販売)}

どちらも「淳」を「あつし」と呼ばせる。

先日、若い女性が「ようやく名刺が出来ました」と言って渡されたシンプルな名刺には
「田○ 淳」と有った

一瞬、なんで旦那の名刺を差し出すのだろう?
同居している彼氏の名刺か?
いや、間違えて別の人の名刺を出したのだろうか?
これは芸名で、裏に本名が…
走馬燈(?)のように様々な事が頭を巡った

これは「淳」と書いて「じゅん」と呼ばせる女性の名前である
固定観念を打ち破るというのは、なかなか出来ない
「シンプルなデザイン」「明朝体の固い字体」「淳という漢字」で男と判断した
「女性らしく、和紙にでも書いてあれば…」と言うと
「これは和紙です」と笑いながら答えてくれたが…
確かに透かしてみたら濃淡の模様がみえる和紙であった

「じゅん」「ひろみ」「かおる」等々と女性と男性と両方とも使える名前が多い。
ちなみに小生の息子も、いっしょであるが…

        

そんなことがあった日、取材が一件入った
広告宣伝費があってないような小店では、ありがたい話である
「”B級グルメ”というページで、おにぎりを紹介したい」と言う
当店のおにぎりの変遷は、試行錯誤の連続である

当初、”こびる”だから、一口で食べられるちいさなものを…と言うことで50円のおにぎり
 それから、東北農研センターが開発した黒米(朝紫)を入れたもの…
 当店らしく、玄米のおにぎり
オリジナルの調味料が出来たので
 味噌の焼きおにぎりを色々と試した…
  米蔵(米麹の味噌)およね(米麹を通常の倍いれたもの)豆蔵(豆味噌)
 醤油「醤次郎」の焼きおにぎりを…
手間の割合に安すぎるというので、大きくして100円にした

                                               

そして最近開発した「しょっつるのおにぎり」
これは金沢から嫁に来た人のアイディアである
「”いしる”を残りご飯に振りかけてから握り、仕上げにごま油を塗ると、いくらでも食べられる」
   *”いしる”というのは北陸の食文化で魚醬のことで、材料は鰯や烏賊を使用する

「北陸の食文化を使うのも…、できれば近くの…そうだ秋田の”しょっつる”か〜」
 (しょっつる=塩魚汁と書く。ハタハタを原料とした魚醬)
(30年ほど前、産業廃棄物の仕事で頻繁に秋田に行っていたときに秋田と岩手の県境の峠でよく売っていた
それ以来、家ではしょっつるは、書かせない鍋の出汁であり、スープの素で、常備調味料である。)

と言うことで秋田の”しょっつる”を使うことにしたが…
”しょっつる”のメーカーは二社ある
ハタハタだけを使った高級老舗メーカーの諸井醸造所と
魚類と書いてあるがハタハタだけでなくイワシなどの他の魚も使った仙葉善治商店
どちらも取り寄せたが、値段には勝てない。

それを言われた量でご飯に混ぜて握り、味がもう一つなので、量を増やし、
混ざり具合が安定しないので、表面に塗り、ごま油を塗って…焼いて、…

しかし、売れない。
だいたいに「しょっつるおにぎり」と表示しても
「”しょっつる”って、何ですか?」と聞く人が多いのである
「みてわからんもん、いうてわかるか!」とは言わないが…(汗)
魔子様に「”塩魚汁”と書いて、ふりがなを”しょっつる”と振って…」

しかし、売れない。
他のおにぎりより、50円高いのである
「ご飯の量を多くしろ」
小生のように大きく見せて価値を高めよう(?)

しかし、売れない。
「100円にして紹介セールをしろ」
 

しかし、売れない。
「試食を出せ」
ようやく売り切れる日が出てきた

結局食べさせないと、食べないのである
当たり前だ、美味しいか美味しくないかわからん物に金を出すか!

しかし、売り切れない日もある。
まるまる残る日もある
「困った。これは売れるのだが…」

そこへシェフの登場である
彼は、それを二度塗りという方法で
濃厚で芳醇、まったりとした味に仕上げた
(この表現はテレビのグルメレポーターのマネです。たぶんこの表現は当たっていないと思います)

一度塗って焼き、途中でもう一度塗って焼いた。そして仕上げにごま油の香ばしい味を…

             

これでB級グルメか?

ごらんになりたい人は、次号の「アキュート」をお買い求めください(編集部より)
立ち読み厳禁。