「嫁と姑で、男どもの悪口を言っているどご!」
と味噌造りをしていた和代さんと嫁の恵子さんは、大声で明るく笑った。

岩崎善隆さんちの”湧く湧く工房”の中である。
3月は味噌造り。5年味噌・3年味噌の仕込みが、家族総出で行われる。

                       

夏に栽培した豆3種類(白大豆・青豆・黒豆)を秋に乾燥させ。冬に豆を拾う。
 

                       

                         

以前、晩秋に「奥さんは?」と岩崎善隆さんに聞いたら「豆拾いに行っている」と言われ
丁寧な仕事をする岩崎家だから、”畑にこぼれ落ちた豆を拾いに行っているのか?大変だな〜”と思った
その後、乾燥した豆を選別することを「豆拾い」といっているようである。
一冬中、小屋の中に広げた豆を(虫食いや、斑点の着いた豆)一粒一粒取り除く手作業の選別をしているのである。
大豆は儲からない。通常は栽培した豆を農協に出せば、重油を利用した機械乾燥をして色彩選別機で選別してくれる。
それを昔ながらのやり方で、天日乾燥して手選別しているのである。

何年か前に、クレームがあった。「味噌が酸っぱい」という。
「調べてくれ」といわれて味噌屋に聞きに言ったら、「水分が多いのでは…」と言われた
そのときの天気により乾燥度合いが違う。また豆の種類によっては吸水率が違う。
保管しているときの温度変化で、発酵が微妙に変化する。
自分で食べる味噌なら、何とか利用するのであるが。岩崎さんちでは、全部捨ててしまった。
捨てるというか?発酵肥料の中に混ぜて土に返してしまう。
そんなこともあって、味噌造りを止めてしまうのか?と思ったが、その失敗をバネに続けている。
 

「今日でお終い。水につけた豆が余分にあるけど、持って行く?」
「持っていって塩ゆでして、お客さんに食べてもらって!」と奥さんの和代さんは言った。
そばで旦那は「煮汁を肥料の中に混ぜるから…」と言って、大きなバケツを運んでいった。

岩崎家の3月の恒例行事で、昨年春からの集大成でもあり、今年の春に向かう最初のイベントでもある。